三公社五現業には年度末手当というのがあって、毎年0.5カ月分支給されることになっていた。
その内0.2カ月分は予算措置の歴史的経緯で業績給とされていたが、それは名目上のもので、ずっと0.5か月が支払われて、労使ともに「生活給」であるという共通認識をもっていた。

大蔵省は、赤字国鉄は0.2を少しでも切り込むことをかねてから要求してきたが、生活給であるとする国会答弁を持ち出して、職員の期待を裏切ることは出来ないと抵抗、はねかえしてきたのだ。

企業成績のよい電電が闇でプラスアルファを支給していることは公然の秘密だった。

77年だったか78年だったか、大蔵はそれまでより強硬な言い方でマイナス支給を求めてきた。
たしか同じように業績のよくない郵政が密かにマイナス支給で大蔵と手を握っていたのではなかったか。
郵政当局は全逓に対して国鉄より強硬姿勢を取っていた。
大蔵の言い分は、赤字の国鉄と黒字の電電が同一支給はおかしいと電電が言っていて、このままでは電電のプラスアルファ要求を抑えられないというものだった。

私は電電公社の給与課総括に電話して、「国鉄はそちらがプラスアルファを支給していることに異議を唱えないから、そちらも国鉄の既得権になっている0.5カ月支給を了解して欲しい」といい、了解を取り付けた。
電電の総括は大学の寮で同室だったから話も早かった。

それではこれから、一緒に郵政の給与課に行って、ことしも三公五現は0.5で足並みを揃えることを確認しましょうと提案、郵政省に乗り込んだ。
郵政の総括もこれには否とは言えない。

それではこの場で大蔵省に連絡して三人で申し入れましょう、と私。
大蔵省は道ひとつ挟んだ向かい側にある。
国鉄を含めた三公社郵政は、本年度の年度末手当についても従来通りの支給とすることで合意しましたので、よろしくお願いします、そういうと、大蔵の給与課総括は電電郵政の二人の顔を苦々しげに見たうえで、分かりましたと答えて一件落着となった。

国鉄の手当削減という功名をあげようという、大蔵省給与課の独り芝居だったかもしれない。
真相は藪の中だ。
国鉄幹部や組合のほとんどが知らないうちの、国鉄職員の生活を守った私のささやかな手柄話だ。